スポーツ前のストレッチは逆効果?構造医学から見る「正しい準備」とは

体の仕組み

「スポーツの前には、まず入念にストレッチ」 そう信じて、冷え切った体で一生懸命に筋肉を伸ばしていませんか?

実は、その良かれと思っている習慣が、かえって怪我のリスクを高め、パフォーマンスを下げている可能性があります。今回は、体の仕組み、特に筋肉と繊維の性質から「スポーツ前のストレッチ」の落とし穴について解説します。

筋肉を「引きちぎって」いませんか?

筋肉は、ゴムのように単純に伸び縮みするだけのものではありません。微細な筋繊維が束になり、複雑なサイクルで収縮と弛緩を繰り返しています。

原稿にもある通り、過剰なストレッチは、この筋繊維を微細に傷つけるリスクを孕んでいます。

  • 冷えた状態の危険性:温度が低い筋肉は粘性が高く、柔軟性が低下しています。その状態で無理に引き伸ばすと、繊維がその張力に耐えきれず「割ける」ような損傷を起こします。
  • 炎症の引き金:小さな傷はやがて炎症や痛みに繋がり、本来のパフォーマンスを阻害する原因となります。

構造医学の視点:筋肉よりも「潤滑」が先

構造医学では、単に筋肉を伸ばすことよりも、**関節内の潤滑状態(生理的局所冷却や潤滑理論)**や、重力に対して骨格がどう機能するかを重視します。

止まった状態で筋肉を伸ばし続ける「静的ストレッチ」を過度に行うと、関節を固定する力が弱まり、かえって骨格の安定性を損なうことがあります。スポーツ前に本当に必要なのは、筋肉を引き延ばすことではなく、血流を促して体温を上げ、関節の滑りを良くすることなのです。

怪我を防ぐための「正しい順序」

安全にスポーツを楽しむためには、以下のステップを意識しましょう。

  1. まずは「温める」から:いきなり伸ばすのではなく、軽いウオーキングやジョギング、動的な動作で体温を上げます。筋肉の粘性を下げることが先決です。
  2. 動的ストレッチの活用:反動をつけず、関節を動かしながら筋肉を刺激する「ダイナミックストレッチ」を取り入れましょう。
  3. 適度な力加減:ストレッチを行う際は「痛気持ちいい」の範囲を超えないこと。筋肉の防御反応(伸張反射)を起こさせない程度の優しい力が最も効果的です。

まとめ

ストレッチは決して悪ではありません。しかし、「冷えた体への過剰なストレッチ」は、筋肉を傷つける刃にもなり得ます。

体の仕組みを正しく理解し、まずは体を内側から温めること。そして、筋肉の繊維をいたわりながら準備を行うこと。それが、長く健康にスポーツを続けるための秘訣です。

 

 

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