「ある日突然、肩が上がらなくなった」 「夜、肩が疼いて眠れない」
四十肩・五十肩(肩関節周囲炎)は、放っておけば治ると思われがちですが、実は**「治りやすいタイプ」と「長期化・重症化しやすいタイプ」**があるのをご存知でしょうか。
今回は、構造医学の理論に基づき、肩の痛みの正体と、意外な「股関節」との関係性について解説します。
1. 四十肩・五十肩には2つのタイプがある
構造医学では、肩の壊れ方によって大きく以下の2つに分類します。
① 単純性肩関節症タイプ(前方位のズレ)
もっとも一般的なタイプです。重力の影響や姿勢の崩れにより、肩の関節が本来の位置よりも前方にズレてしまうことで起こります。
- 特徴: 腕を上げると骨と骨がぶつかる(インピンジメント)。
- 経過: 数日から数週間で自然に痛みが引くことが多い。
- 落とし穴: 痛みが消えても「関節のズレ」や「全身のバランス」が治ったわけではありません。これを放置すると、数年後に反対側の肩を痛めたり、次の「癒合性」へ移行するリスクがあります。
② 癒合性肩関節症タイプ(凍結肩)
いわゆる「フローズンショルダー」と呼ばれる、重症化しやすいタイプです。
- 起こり方: 腕が引き抜かれるような牽引力が繰り返し加わり、身体が防御反応として**「関節を固めて守ろう」**とします。
- 症状: * 夜間痛: 夜中にズキズキして眠れない。
- 運動制限: 髪を洗う(結髪)、帯を締める(結滞)動作が困難。
- 状態: 関節包が厚く硬くなり、レントゲンでも白く映ることがあります。完治までに1〜2年を要することも珍しくありません。
2. なぜ肩なのに「股関節」が重要なのか?
「肩が痛いのに、なぜ股関節を診るの?」と不思議に思うかもしれません。その答えは、人間の進化の過程にあります。
人間はもともと四足歩行でした。前肢(腕)と後肢(脚)は、「右脚と左腕」「左脚と右腕」というように対(クロス)になって連動して動く構造になっています。
二足歩行になった現代でもその連動性は生きており、特に以下の理由から股関節のケアが不可欠です。
- 対角線の連動: 股関節の動きが悪いと、その補正を対角にある肩が担うことになり、過剰な負担がかかります。
- 荷重のバランス: 構造医学では「重力」との調和を重視します。土台である股関節が崩れると、上部にある肩関節の潤滑(滑り)が悪くなり、炎症を引き起こすのです。
👉 つまり、肩の可動域を取り戻すためには、対になっている股関節の柔軟性を取り戻すことが近道なのです。
3. タイプ別・自宅でできるセルフケア
単純性タイプの場合
まずは**「姿勢の復元」**が先決です。
- 胸を張る意識: 肩が前に出ないよう、肩甲骨を軽く寄せる習慣をつけましょう。
- 重力への適応: 椅子に深く座り、骨盤を立てることで肩への負担を減らします。
癒合性タイプ(激痛がある時)の場合
無理に動かすのは厳禁です。
- アイシング: 構造医学において「局所の冷却」は基本です。炎症が強い時期は、氷のうで熱を取ることで組織の修復を促します。
- 重い物を持たない: 重力による牽引力は、関節の癒着をさらに強めてしまいます。
- 炎症後のリハビリ: 痛みのピークが過ぎたら、股関節のストレッチと併行して、少しずつ肩の可動域を広げていきます。
まとめ:身体はすべて繋がっている
四十肩・五十肩は、単なる「肩の老化」ではありません。長年の姿勢の崩れや、股関節の機能低下が、最終的に「肩」という弱点に現れた結果です。
「痛みが引いたから終わり」ではなく、なぜ肩に負担がかかったのか? という根本的なバランスを見直してみませんか。

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