
歩く、階段を上り下りする、椅子から立ち上がる。毎日使っている膝には、曲げ伸ばしに加えて、小さな「回転」が起きています。
この回転を、ねじを締めたり緩めたりする「ねじ回し」にたとえると、膝の働きがぐっと分かりやすくなります。今回はその仕組みと、膝の感じ方から普段の使い方を振り返る目安を紹介します。
膝は、どんな構造をしている?
膝の中心になるのは、太ももの骨である「大腿骨」と、すねの骨である「脛骨」です。その前には、お皿と呼ばれる「膝蓋骨」があります。
大腿骨の先端は、内側と外側に丸みを持っています。その丸い面が脛骨の上を転がり、滑りながら動くことで、膝の曲げ伸ばしが生まれます。
骨の表面には滑らかな軟骨があり、骨と骨の間には「半月板」があります。半月板は体重を受ける面を広げ、力を分散させます。さらに、前後の十字靭帯、左右の側副靭帯、周囲の筋肉が、骨のずれや動きすぎを抑えています。
膝は、骨・軟骨・半月板・靭帯・筋肉が一緒に働く、立体的な関節なのです。
膝を伸ばすとき、太ももの骨が内側へ回る
足を地面につけて膝を伸ばすと、伸び切る最後のところで、脛骨に対して大腿骨が少し内側へ回ります。これを「スクリューホーム運動」と呼びます。
ねじを回すと部品同士の収まりがよくなるように、膝も曲げ伸ばしと回転を組み合わせて、体重を支えやすい位置へ収まります。曲げ始めるときには、その位置関係が戻り、次の動きへ移ります。
内側と外側で骨の形や動き方が違い、靭帯にも張りが生まれます。それらが組み合わさって、回転と曲げ伸ばしを導いています。膝の内側を一つの硬いストッパーと考えるよりも、内側を含む関節全体で動きを受け止める仕組みを思い浮かべてください。
「ねじ回し」で考える、膝の二つの目安
ここからは、ねじ回しのイメージを使って、膝の使い方を振り返ります。「内側の痛み」と「膝全体のぼーっとした感じ」を、自分の動きに目を向ける入口にしましょう。
内側が痛むとき――使いすぎ・衝撃・伸ばしすぎを振り返る
ねじを強く締め続けると、受け止める側へ負担が集中します。膝でも、体重や繰り返す衝撃を受け止める場所に負担が積み重なります。
膝の内側が痛むときは、「締める側に負担をかけすぎていないか」という目で、普段の使い方を振り返ってみましょう。
- 歩く距離や立ち仕事の時間が急に増えていないか。
- 階段を勢いよく下りるなど、強い衝撃を繰り返していないか。
- 立つたびに、膝を後ろへ押し込むように伸ばしていないか。
膝が後ろへ反るほど伸びる状態を「反張膝」といいます。内側の痛みがあるときには、使いすぎや衝撃に加え、この伸ばしすぎの姿勢も確認します。反張膝は膝が伸びる角度を表す言葉です。回転の量とは分けて観察しましょう。
全体がぼーっとするとき――伸び切らない使い方を振り返る
「ここが痛い」と指せる感じではなく、膝全体がぼーっとする、重だるい、すっきりしない。そんなときは、膝を少し曲げたまま使っていないかを見ます。
ねじが最後まで収まらないイメージです。膝を曲げた姿勢で立ち続けると、太ももの筋肉は体重を支えるために働き続けます。
- 立っているとき、いつも膝が少し曲がっていないか。
- 歩くときに脚を十分に伸ばさず、小さな歩幅になっていないか。
- 長く座った後、そのまま曲がった姿勢で歩き始めていないか。
全体のぼーっとした感じを入口に、膝がどこまで伸び、どう体重を受けているかを観察してください。ねじ回しのイメージは、膝の感覚と使い方を結びつけて考えるための目安です。
自分の膝を知るために
膝を見るときは、「痛いか、痛くないか」に加えて、「どこが、どんな感じで、どんな動作の後に気になるか」を言葉にしてみましょう。
内側が痛むときは、使いすぎ・衝撃・伸ばしすぎを振り返る。全体がぼーっとするときは、膝を伸ばし切らずに使う習慣を振り返る。この二つを、日々の膝を知る一つの目安にしてください。
確かめるのは、いつもの立ち方や歩き方です。手で膝をねじったり、痛みを我慢して押し伸ばしたりする必要はありません。強い腫れや、体重をかけられないほどの痛みがあるときは、医療機関で状態を確認してください。
膝は「曲げ伸ばし+回転」で体を支えています。その立体的な動きを知ることが、自分の膝との付き合い方を見直す第一歩です。
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